精神科医Dr.Chikaの音楽制作所/Psychiatrist Dr.Chika's Music Laboratory

認知症・ビートルズ・楽曲制作についての雑記となります/Various things about dementia,Beatles,MusicMaking....

【音楽と認知症】認知症重症者への「個別音楽聴取」 2020年までの施行結果と学会発表の記録

2020年は、認知症専門床に入所される、多くの重度の認知症の利用者さんに、ヘッドフォンで思い出の曲を聴いて頂きました。

その中から、28名の方について観察記録を行い、昨年までに観察を行なった6名の方も合わせて34名の方の反応から、重度の認知症の方への音楽聴取の効果を検証しました。

その結果を集計し、2021.9月の117回日本精神神経学会で発表をさせていただきます。

以下は発表内容の概要になります。

方法の説明

  • 2018.4-2020.11に認知症専門床に入所された、通常のリハビリ介入が困難である、重度の認知症の利用者さんを対象に、個々人の思い出の曲を、ヘッドフォンで聴いていただいた
  • 頻度は1回3曲を合計5回(15曲)(反応が高く、問題症状が顕著な方については、そのまま長期間にわたって聴いていただきました)
  • 認知症高齢者のQOL評価表と、周辺症状(心理的な症状)のスコア(NPI-Q)を用いて介入前後の様子を評価した
  • 聴いている時の反応有無を、5つの項目(歌唱・回想発言・曲名想起・表情変化・体動)で記録した
施行時の反応5項目について

尚、5項目の反応の有無は以下のような脳の機能が保たれているかどうか、についての指標と考えました。

歌唱:手続き記憶(自転車の乗り方、ギター演奏など習得したことの記憶)や言語能力

回想発言:エピソード記憶(思い出の記憶)

曲名想起:意味記憶(言葉の意味などの記憶。ただし曲を知っていることが前提条件)

表情変化:情動の変化

体動:リズム感

 

[2021.8.13追記]結果・考察を修正いたしました↓

目的・今回検証した内容

  • 対象者を増やし効果判定を進めることを目的に、

    (1)QOL改善に影響を与える要因(属性/反応)の検証

    (2)聴取時の項目別反応有無と重症者が保持する能力の検証

を行いました。

(属性=年齢・性別・HDS-R・施行前QOLスコア/施行前NPI-Q)

結果概要

34名中28名へ全5回施行可能でした。(赤の2名は拒否、黄色の4名は5回未満でした。)

全5回施行した28名中、青色の14名でQOLスコア上昇(そのうち白色の3名でNPI-Q低下し周辺症状改善)を認め、緑色の14名でQOL不変でした。

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反応測定の結果

5回施行可能の28名中、以下の順に高い割合で反応が見られました。

・表情変化(笑顔になる・悲しい表情になる・泣き出すなど)・・26名(92.9%)

・体動(リズムをとる・踊り出すなど)・・21名(75.0%)

・歌唱(大声または小声で歌詞を歌う、鼻歌など)・・20名(71.4%)

・回想発言(曲にまつわる思い出のエピソードを話す)・・16名(57.1%)

・曲名想起(曲名または歌手名を答える)・・15名(53.6%)

 

→音楽に関連する反応・記憶が重症の方においても高い割合で保持されていると考えられました。

 

●以上の結果を統計学的に検証するため、検定を依頼しました。その結果をもとに、検証した結果が以下になります↓

検証

(1)PMLによるQOLの変化について

・Paired T検定という検定手法で、検定を行ったところ、P値0.002<0.01と低値でした

→厳密にはPMLを行わない対照群の設定が必要ですが、少なくともPML前後でQOLスコアが上昇したことが示されました。

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(2)QOL変化量を応答変数とする重回帰分析

QOL変化に影響を与える要因を探すことを目的に、属性(年齢・性別・HDS-R・施行前QOLスコア/施行前NPI-Q)と反応5項目のそれぞれの変数がQOL変化に寄与する程度を、重回帰分析という検定手法を用いて結果を検証しました。

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その結果、

・どの標準偏回帰係数も高くはなく、P値からも有意差はない

・自由度修正済み決定係数は0.07と低値

→これらの変数では、ほぼQOLの変化を予測できない

という結果となりました

(3)QOL変化量を応答変数とする重回帰分析

5回施行可能の28名について、HDS-R 4点以上/未満で2群に分け、聴取時の反応5項目について、フィッシャーの正確確率検定という多重検定の手法で検定を行いました。

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その結果、

回想発言と曲名想起でP値が低く、長谷川式の点数との関連傾向が見られました

表情・体動・歌唱では長谷川式の点数との関連傾向なしと解釈できる結果でした

[考察]

(1)QOL改善に影響を与える要因について

・今回の検証で用いた項目ではQOL改善に関連のある項目はなしの結果でした

→「効果があるかはやってみないとわからない」ことがわかった点で意義があるとも言えます

・また、他の項目(個別曲の有無など)が効果に影響を与えている可能性もあり、今後も引き続き対象者を増やし、検証を続けたいと思います

(2)反応測定と重症者の保持する能力について

音楽に関連する影響が重症患者においても高い割合で保持されることが示されました

・HDS-R<4点の最重症者では回想発言・曲名想起といった言語的表現は欠落していく一方で、表情・体動・歌唱はHDS-Rに関連しないことが示されました。

 

2020年までの結果概要は、以上となります。

2021年も、定期的に、認知症専門床に入所された方へ、個々人の思い出の曲を、ヘッドフォンで、聴いていただいております。

コロナ禍で集団での活動が制限される中で、演奏会・集団音楽療法は長らく休止をしていますが、個別聴取は続けることができております。

 

今後はさらに対象者を増やし、検証を掘り下げ、施設や家庭で簡単に実施できる音楽を用いた介入(音楽療法)としての手法確立とともに、急増する認知症の方々のQOL上昇と問題症状の緩和や、介護者の負担軽減に貢献したいと考えております。

 

感想

2018年から個別音楽聴取の取り組みを始め、認知症の利用者さんに思い出の曲を聴いていただく中で、一定の割合の方に、高い反応や効果を実感しておりますが、ある程度人数が増えるまで、評価が難しい状況がありました。

今回は記録の対象者を34名まで増やせたことで、反応測定や検定結果を、数字に示す形で検証することができました。

音楽療法というものは全般的に、効果があることはわかっていても、それを証明することが難しい分野だと思います。今回は検定を行っていただけたことで、「なんとなく効果がありそうだ」というところから一歩踏み出せたような気がしております。

次回以降も、主観的に評価しがちな音楽の影響を、より客観的に、分析をして行けたらと思っています。

最後に、日々音楽療法をお手伝いしてくださっている作業療法士さんたちや、ご指摘や検定の実施をいただいた共同発表者の方々に、感謝をしたいと思います。

 

 お読みいただき、ありがとうございました🐈🎧

 

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 *尚、施設での個別音楽療法の研究においては、調査・研究上の倫理原則に則って行なっております。 

認知症の方への接し方

認知症の方への接し方はとても重要です。言葉かけ一つで、心理的な症状が良い方にも、悪い方にも、変化してしまうからです。

しかし、実はそんなに難しいものでもありません。

私たちの普段の会話と同じ部分と、少し違う部分を感じ取ることに

お役に立てれば幸いです。

認知症の方への接し方

重度の認知症の方々と接する時に、個人的に感じているポイントは

  • 楽しい気持ちになるようにする
  • 安心させてあげる
  • ユーモアを活用する
  • 近い距離で親身になって聞く
  • 口調が大事
  • 表情も大事
  • 聞こえずらそうだったら耳元で大きい声で話す

など、割と当たり前のようなことです。

私たちの普段の会話でも、

  • 少しの口調の違いによって、いい気持ちにも嫌な気持ちにもなる
  • ユーモアがあったら面白いので笑う
  • ちゃんと聞いてくれているかどうか伝わってしまう
  • 相槌がそっけないと嫌な気分になる

などというようなことはよくあると思います。

吐き捨てるようなぶっきらぼうな口調で話しかけられたり、無表情で機械的な相槌を打たれたら、嫌な気持ちになるのが普通だと思います。

逆に穏やかな口調でユーモアがあって面白ければ、笑って気分が良くなって、その後しばらくハッピーな気持ちになったりすることもあると思います。

それは認知症の方も同じです。

認知症の方では記憶障害の原因となる部位(海馬)の神経細胞が傷害されていても、感情の働きは保たれやすいと言われます。

実際の会話例

認知症専門床の様子です。

例えばつい昨日のことですが、女性の利用者さんが、トイレから戻ると、ズボンを上げて歩きながら、私の方を見て「先生、おしっこ!」と何度も言って近寄ってきてくれましたので、「私はおしっこではありません!笑」と言いました。するとニコニコと楽しそうにして、そのまま席に戻っていきました。

一般的な認知症の方への原則では「否定してはいけない」というものがありますが、

私たちの会話でも、否定することが逆にユーモアになったりすることもあるのと同じで、いつも原則どおりという訳ではないです。適度に親しみを込めて否定形のユーモアで返した方が、お互いに楽しい気持ちになったりするので、人によっては、こんな風にあえて否定系で返します。

人によって言葉や反応を変えることも、私たちの普段の会話においても当たり前のことだと思います。認知症の方と話す時でも、同じです。

ただし違うところがあるとすれば、背景に病気があることを念頭に置く必要があるということです。

例えば昨日は12月25日クリスマスでしたが、その話を持ちかけるとある男性利用者さんが「プレゼント買ってきてあげる。何がいい?ピアスでもネックレスでも、ブレスレットでも何でもいいよ!」と、言ってくれました。

この方は普段から現実離れをした会話(妄想様の発言)をよくする方なのですが、

それを否定したりして機嫌を損ねると、急に表情が険しくなって、独り言を始めたりなど、調子が悪くなってしまいやすい方でもあります。

差し障りのない範囲で、その人の想像している世界に、適度にのってあげることが大事です。なので例えば「ありがとう!ネックレスお願いしてもいい?」などと、答えます。実際には、利用者さんは一人で外出をすることはできず、お金の計算や買い物をすることもできないことが現状です。それでもそうやって答えて、その人の世界に少し合わせてあげるだけで、楽しい気持ちで満足をしていただけます。

こんな風に、日々の認知症の方との会話はとても楽しいです。

 

好きな曲に秘められた可能性[エッセイ]

12月になり、認知症専門床では、いつもと変わらない時間が流れています。

流れているというよりは、止まっているという表現の方が合っているのかもしれません。皆さん、季節も日付も時間も場所も関係なく、一瞬・一瞬のやり取りの中で、日々を過ごされています。

今年までに行なった個別音楽療法の全体的な結果分析については、後日改めてまとめさせていただきたいと思っていますが、先に少しだけ、聴いている時の表情の変化についてお伝えさせていただくと、一定期間以上思い出の曲を聴いていただいた32名の方のうち、29名で聴いている時に表情の変化がありました。普段は見せない様な笑顔になることもあれば、悲しそうだったり泣いていることもありました。

感情を司るのは脳の中でも扁桃体と呼ばれる部分で、音楽を聴いたときに大脳の聴覚野からの情報が伝わって扁桃体が刺激され、表情の変化や血圧・脈拍の変化などの情動面の変化が生じます。

一般的に認知症でも感情の働きは障害を受けにくいとされますが、個別音楽療法の対象者である重症の方であっても、ほとんどの方で感情が保たれている、ということを確認できたように思います。

また感情が保たれているということは、介助の仕方や声かけの仕方一つで、認知症の方が心地よく過ごせるかどうかが左右されることへの根拠にも繋がるように思います。

 

さて今年の新型ウイルスについて、どの様に考えるかは様々かと思いますが、私は今後ワクチンの開発などによって事態が収束に向かったとしても、元の生活に戻る方向よりも、新しい時代にシフトをしていく動きを想定しています。

今後も同様の事態への対策が余儀なくされる以上は、例えば地方分散化や人の移動の減少、蜜を避けた行動などのリスクマネジメントの強化は引き続き意識されるのではないかと思いますし、対人業務の減少とともにITの需要が一層高まり、オンラインでの消費形態が促進されることで輸送の需要が高まるなど、素人ながらもなんとなく予想できそうなことはありそうです。

また、この数百年で世界的に人口が爆発的に増え、産業が急速に発展したことで、地球温暖化の問題も同時に表面化してきているようです。

さらに高齢化社会に伴う認知症の罹患者の急増と、それに伴う介護の人員不足の問題が明るみに出てくることが予測されます。

大きなスパンで、環境問題や感染症対策を視野に入れた人類の生活様式の変化を余儀なくされているフェーズに入って来ている、というように、感じています。 

 

様々な未来の課題の中で、私が取り組んでいる「認知症の問題」については、2040〜50年頃には人口ピラミッドが逆転し、少ない労働人口で多くの高齢者を支えることになると予想されています。高齢者が増えれば、それに比例して認知症の方も増えます。そうなった時に、このままでは多くの認知症の方が、有意義な形で最期の時期を過ごせなくなってしまうのではないか、ということを私は危惧しています。

 

認知症の治療薬の開発への希望もありますが、現在、認知症施設に入所される方々の経緯を見ていて感じることは、高齢者の生活背景は様々で、ご家族のサポートのもとで適切なタイミングで受診や治療を始められる方は決して多くはないということです。また、認知症の問題は、将来とは言わず、すでに起こり始めていることは、日々のニュースなどの中でも、感じられるのかもしれませんが、私の施設に入所される方の経緯からも、問題症状のためにご自宅での介護が限界となったり、あるいは虐待から保護されて入所されるといった方が多くいらっしゃいます。

 

表面化してきている認知症の問題に対し、ヘッドフォンで思い出の曲を聴く手法ならば、多くの施設や家庭で、誰でも簡単に行えるものです。

QOLの向上や、問題症状の緩和、言語能力が改善する可能性については、米国での報告や、私の勤務先の施設で多くの方に聴いていただいた様子からも、観察されています。

さらに掘り下げて、どれほどの方に、どのくらいの効果があるのか、を見るためには、より多くの方へ、施行を続ける必要があると思います。

来年も引き続き、多くの利用者さんと思い出の曲を聴いていただきながら、効果を探っていきたいと思います🎧

 

お読みいただきありがとうございました🎧🐈📰

 

 

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【音楽療法新聞】 2020年12月

 

認知症専門床での個別音楽療法 

認知症専門老人保健施設に入所されている認知症の重症者の方に、ヘッドフォンで個々の思い出の曲を聴いていただく個人別音楽聴取。(Pesonalized Music Listening:PML)米国で広められている手法ですが、私の施設でも積極的に取り入れています。

思い出の曲を聴いた利用者さんの反応を、お一人ずつ、ご報告させていただきます。

個別音楽療法の報告19

匿名Sさん 年齢80代後半 男性 アルツハイマー認知症 (HDS-R4点)

【聴く前の様子】

表情硬い・じっと座っている

【好きな曲の情報】

五木ひろし石原裕次郎

【反応が良かった聴取曲】

細雪/倖せさがして(五木ひろし)・夜霧よ今夜もありがとう/ブランデーグラス(石原裕次郎

【聴いている時の様子】

「いい声してるなぁ」と笑顔で話す。「顔は男らしくないけど」と回想する様子あり。ところどころ鼻歌を歌う。「歌うのは得意ですか?」とスタッフが聞くと「聴いてる方が楽だね」と会話が成立している。また自らスタッフに「あなたのお母さんいくつ?」と話しかけたり、石原裕次郎の名前を挙げて話をしている。

【総評】

聴いている時の様子を詳しく見ていきます。

  • 表情の変化があった→情動の変化があった(脳の感情を司る扁桃体が刺激された)
  • 回想発言があった→昔の体験や歌手の顔を思い出していた(エピソード記憶が保存されている)
  • 意味が通じる会話が成立した→言語に関わる脳の領域が刺激された
  • 歌手名を答えられた→言葉の意味などの記憶(意味記憶)が保存されている

Sさんは認知症の進行によって、普段は会話が成り立たないことが多く、体操やレクリエーションにも参加が難しいために、じっと座っていることが多いようなご状態です。そんなSさんが自ら好きな歌手名をリクエストしてくれたことも意外でしたが、曲を聴いている間、回想したり話しかけたりする様子がありました。今後も好きな曲を介して、Sさんの中にある記憶を思い出していただけたらと思います。

個別音楽療法の報告20

匿名Tさん 年齢70代後半 女性 認知症 (HDS-R10点)

【聴く前の様子】

眠そうに座っている

【好きな曲の情報】

美空ひばり

【反応が良かった聴取曲】

川の流れのように/リンゴ追分/柔/東京キッド(美空ひばり

 【聴いている時の様子】

歌詞の内容に反応し「'あの人'って誰だろうね」と話す。美空ひばりについてのエピソードを話し続ける。歌詞をはっきりと歌っている。ブランデーグラスを聴くと「裕次郎の映画昔よく見てた」と話す。「いい声してるよね。探るようなね。」と。集中が途切れると徐々に曲とは関係のない話が出てくるようになる。

【総評】

  • エピソードを話し続ける→ 記憶や体験が保存されている
  • 歌手名が出てきた→言葉の意味などの記憶(意味記憶)が保存されている
  • 意味が通じる会話が成立した→言語に関わる脳の領域が刺激された
  • 歌詞をはっきりと歌った→歌詞やメロディー・リズムの記憶を覚えている(手続き記憶が保存されている)

普段は、妄想様の発言(現実離れして意味の通じない会話)が多いTさんですが、曲を聴いている間、会話が成立していました。また歌手について詳しくお話をされていたことも意外な一面でした。普段のリハビリは、塗り絵などが中心で、積極的に取り組めることが限られており、何もせずに椅子に座っていることも多い様子です。今後も音楽が好きな点を積極的に生かして行けたらと思います。

 

個別音楽療法の報告21

匿名Vさん 年齢80代前半 女性 混合型認知症 (HDS-R6)

【聴く前の様子】

傾眠。表情険しい。

【好きな曲の情報】

なし

【反応が良かった聴取曲】

いつでも夢を(橋幸夫吉永小百合)・365歩のマーチ(水前寺清子)・明日があるさ坂本九)・銀座の恋の物語(石原裕次郎・牧村旬子)・高校三年生(舟木一夫

 【聴いている時の様子】

足を動かしてリズムをとりながら歌っている。大きい声で歌い、足や首でうなづくようにリズムをとっている。真剣な表情で最後まで歌い続ける。「君といつまでも」を聴いている時も、「いつでも夢を」を歌っているなど、聞いている曲とは別の曲を歌っている。銀座の恋の物語を聴くと「裕ちゃん?」と尋ねる。石原裕次郎について話し始める。曲が終わると「ありがとう」と笑顔。

【総評】

  • 大きい声で歌いリズムをとる→歌の記憶(手続き記憶)や運動の記憶が保存されている。
  • 歌手名が出てきた→言葉の意味などの記憶(意味記憶)が保存されている

Vさんは転倒して骨折・手術をした後、今は車椅子で生活をされています。

体を動かすことが少なく、何もせずに座っている時間が多いのですが、今回の音楽療法でとても歌がお上手であったことがわかりました。味のある良い声でしたので、是非これからも好きな曲をたくさん歌っていただきたいです。

 

個別音楽療法の報告22

匿名Wさん 年齢80代前半 女性 レビー小体型認知症(HDS-R4)

【聴く前の様子】

傾眠。座っている。

【好きな曲の情報】

なし

【反応が良かった聴取曲】

明日があるさ坂本九)・高校三年生(舟木一夫

 【聴いている時の様子】

聴きだすと表情が和らぐ。歌うことはないが、スタッフが「知っている曲ですか?」と質問すると「知っている」と答える。別の曲で「知っている曲ですか?」と質問すると「知ってない」と答えた。リズムに合わせて微かに手を動かす。明日があるさを聴いている時に、途中で2回声を「くくく」と出しながら笑いだす。愛燦燦で「知っていますか?」と聴くと「ひばりでしょ」と初めて歌手名を答える。リズムに合わせてうなづく動作あり。曲が終わると「終わっちゃった」と話す。

【総評】

  • 表情が和らいだ。笑い出した→情動の変化があった(脳の感情を司る扁桃体が刺激された)
  • リズムをとる→歌や音楽に関する運動の記憶が保存されている。
  • 歌手名を答えた→言葉の意味などの記憶(意味記憶)が保存されている

Wさんは眠そうにしていることが多く、起きていても無表情で座っています。

表情の変化がほとんどないので、曲を聴いて笑ってもらえたことは大きな変化だったと思います。「くくく」と笑ったのは、何か思い出したことがあったのか、歌詞や歌がどこか面白く思ったのか、理由はわかりませんが、歌詞の言葉の意味を理解していたことが伺えます。これからも好きな曲で笑顔になってもらいたいと思います。

 

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*個別音楽療法は、認知症重症者のQOLの向上や問題症状の緩和を目的に、私が勤務する認知症専門老人保健施設での独自の取り組みとして実施しています。

 

【音楽】ビートルズの魅力

今回はビートルズについて、私なりの考えをまとめさせていただきます。

 

概要

イギリス・リバプール出身の4人組ロックバンド。

196210月に「Love Me Do」でデビューしてから19704月の解散までの間に公式オリジナルアルバム13枚(Magical Mystery Tour含む)とPast Maters Vol1&2収録の213曲を発表した。(Past Maters Vol1収録のドイツ語ver2曲を除くと211曲/Revolution1とRevolutionを同じとすると210曲) 

リンゴスター(1940.7.7)が最年長で、ジョンレノン(1940.10.9)、ポールマッカートニー(1942.6.18)、ジョージハリスン(1943.2.25)が最年少。

 

魅力

Beatles自身とその音楽性の変化

8年間の中でBeatlesというグループ自体が大きく変化していき、それに伴って楽曲の音楽性も変化していく。

デビュー前はリバプールのライブハウス・キャバンクラブなどで連日演奏を行い、デビュー後は2枚目のシングルの「Please Please Me」の大ヒット(英国チャートで30週連続1位)を皮切りに、「From Me To You」「She Loves You」「I Want To Hold Your Hand(抱きしめたい)」..と次々と前代未聞の大ヒットをとばした。

アメリカや世界へ進出しコンサートを行い、音楽にとどまらず価値観・ファッションなどに大きく影響を与えた。

19658月には史上初の野球場でのコンサートをニューヨークのシェイ・スタジアムで行い、野球場での演奏のパイオニアとなった。

世界各国で、大勢のファンに囲まれた中でコンサートを続けるが、1966.8.29のサンフランシスコ・キャンドルスティック・パークでのコンサートを最後に、演奏活動を休止。その後レコーディングバンドへと変貌をとげる。4人の風貌も大きく変わった。

Beatles自身が架空のバンドを演じた初めてのコンセプト・アルバム「サージェントペパーズ・ロンリーハーツクラブ・バンド」から、多様な演奏形態の曲を収録する「ホワイトアルバム」まで、数多くの曲をレコーディング。コンサートを休止した代わりに、シングル曲の公開とともにプロモーションビデオを撮影。現代のPVの先駆けとなったのも、ビートルズ19676月には、3億人が視聴した世界同時衛生中継番組「アワー・ワールド」に出演し、「愛こそはすべて」を披露した。

1968年には自主レーベルとも言える「アップル・レコード」を設立し、「ホワイト・アルバム」以降のアルバムをアップルからリリース。

解散を前にした1969年に再びデビュー当時のビートルズの演奏形態に戻り「ゲット・バック・セッション」を行い、映画「レット・イット・ビー」を撮影。そして、横断歩道を渡るジャケットで有名な「アビーロード」を、最後に録音したアルバムとして発表し、19704月に解散。8年間のビートルズストーリーは幕を閉じた。

 

曲作り

ビートルズの曲は12,3分のものがほとんどで4人とも曲を書く。

レノン=マッカートニーの曲が圧倒的に多いが、ジョージの曲も名曲ぞろい。リンゴの曲(ドント・パス・ミー・バイ/オクトパス・ガーデン)もいい味を出している。

ジョンレノンが作曲しても、ポールマッカートニーが作曲しても、合作でも、表記はレノン=マッカートニー。有名な曲では、「イエスタディ」や「ヘイ・ジュード」や「レット・イット・ビー」などはポールの作曲で、ポールとジョンの作曲したメロディを組み合わせて合作したものもあり、「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」「We Can Work It Out(恋を抱きしめよう)」などに見られるように、2人が作曲した異なるメロディが、絶妙にマッチしている。

 

4人のソングライターが切磋琢磨し、5人目のビートルズといわれる音楽プロデューサー、ジョージ・マーティンに支えられ、完成したビートルズの楽曲には、駄作がない。11曲の世界観に合わせて、誰が歌うか、どんなコーラスを入れるか、どの楽器を使いどんな風に弾くのか、試行錯誤の結果、それぞれの曲が違った風合いを見せ、ビートルズの音楽の多様性を築いた。

解散後のソロ活動では、各メンバーの音楽の指向性の違いが明らかとなる。ポールは歌詞よりもメロディやアレンジを優先し、ジョンはメッセージ性のある歌詞で聴かせる。ビートルズでは各メンバーの強みが掛け合わされ、ジョージ・マーティンの力が加わり、唯一無二のビートルズサウンドが存在し得たことがわかる。

各曲ともわずか2,3分の中で、キャッチーでセンス溢れるメロディやアレンジやコーラス、リードボーカルが一体となって、ビートルズサウンドが繰り広げられる。

 

人柄

4人ともリバプール訛りのままで、飾らない。発言は実に率直で、心を打たれる。物質的なものや既存の価値観に左右されないかっこよさを感じる。

現代の私たちの日常生活の中ですら、金銭や肩書きなどの既存の価値観で物事を判断する人は多いが、ビートルズは成功して富を得てからも、真に価値あるものを追求し続けた。

ポールの言葉に「Were no more and no less..」(等身大以上でも以下でもない)というものがあったように思う。傲慢でなく、謙虚な中に自信もあり、持っているものを語らずして示す、ビートルズはそんな真のかっこよさの模範でもある。

 

歌とコーラス

ビートルズの声質は4人とも特徴的かつ異なっている。とくに鼻腔周囲に集音され鋭く響くジョンの声と、広く鼻腔・副鼻腔に響くスウィート・ボイスのポールの声は対極にある。ジョンが歌うか、ポールが歌うかで曲のイメージは全く変わる。

各曲のイメージに合わせて、この曲はだれがリード・ボーカルをとるのか、が決められる。

基本的には、自分が書いた曲は自分で歌う、というスタンスだが、例えばリンゴがリード・ボーカルの「イエロー・サブマリン」のように作曲者(レノン=マッカートニー)とボーカルが異なる場合もある。

そして、ビートルズの最大の魅力の一つであるコーラスの美しさも欠かせない。コーラスラインの多彩さと、絶妙な使い方も大きな魅力だ。

そしてポール・ジョン・ジョージの3人でハモった時の美しい声の融合・・については「Abbey Road」に収録される「Because」に集約されるかと思う。

 

声質は生まれつきのものだ。男性の場合は声変わりで声域が低くなったり、その人の声色の中での変化はみられるものの、基本的な声質は生涯変わらずにその人特有のものである。発声のしくみについて考えてみると、肺から送られた空気が喉の奥にある声帯を振動させ、声のもとになる「音」が、口腔や鼻腔・副鼻腔と言われる頭蓋内の空洞に響く事によって、声は発せられている。声を響かせる頭蓋内の空間の形態の違いが声質に影響している。

歌唱力だけでなく生まれ持った声質が曲のイメージを大きく左右するポップロックにおいて、3人の声質が絶妙にマッチしていることは大変に貴重だと思う。

 

演奏の魅力

ビートルズは、演奏が上手い。デビュー前に連日キャバン・クラブなどで演奏を重ねていた下積み時代に支えられていることもあるかと思うが、ビートルズに限らず、昔の時代は今よりもオーディオ機器の技術がはるかに限られた環境下で演奏をしていた。

音楽というものは演奏によって音が空気を振動させ聴いた人に感動を与えるものだが、録音をしなければ音はどこかに消えてしまい、現代まで聴き継がれることはない。

音楽という媒体は「オーディオ・データ」であり、制作過程にはその時代の科学技術の進歩が大きく影響してきた。

現代では、音楽データはパソコンのソフトを使用して制作され、録音した音のリズムや音程や音量などを簡単に修正することができる。部分的に録音したものを繋げて、各パートに様々にエフェクトをかけて加工し、画面上だけで再現可能な最高のテイクを作ることができる。

そのような高度な技術は、当然ビートルズの時代にはなかった。1963年に発売されたビートルズの最初のアルバム「Please Please Me」は、収録曲のほとんどを一発録りしたと言われる。ビートルズの演奏力は音源の高い完成度にも直接的に作用した。

 

アレンジ・アイディアの魅力

音楽におけるクレジットには、作詞・作曲・編曲とあるが、アレンジは編曲にあたる部分だ。

同じ曲でも、アレンジによって仕上がりは全く変わる。どの楽器を使って、それぞれどんな音色でどんなフレーズを弾くのか、アレンジの可能性は無限大に存在しうる。

ビートルズのアレンジは実に多彩だ。その曲のイメージに合うならば、リコーダーでも管楽器でも、インドの民族楽器でも、雑踏のざわめき声でも鳥の鳴き声でも、何でも取り入れる。あるいは、よりテクニカルな楽器のフレーズが合う曲には、メンバー以外のプレイヤーも受け入れる。「ドント・レット・ミー・ダウン」や「ゲット・バック」などの鍵盤はビリー・プレストンに、「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス」のギター・ソロはエリック・クラプトンに任せている。

ビートルズの発想力と、それをうまく引き出して形にするジョージ・マーティンの力によって、曲のメロディーを最大限に生かすべく、アレンジが仕上がっている。

ビートルズの曲は何度聴いても「こんなところにこんな音が!」という発見があったりする。 

 

ファッションの魅力

デビュー前はジーンズに革ジャンで演奏していたが、ビートルズのマネージャーのブライアン・エプスタインが、スーツにネクタイを着用させ演奏後に一礼をさせるという、初期のビートルズの礼節あるイメージ作りを行なった。

一昔前の流行りが、今現在には受け入れがたいセンスとなってしまう場合も多々あるが、ビートルズ60年代のファッションや髪型は、現代の感覚にも溶け込んでいる。初期のマッシュルームカット・ブーツやスーツ、あるいは中期以降のサイケデリックな色使いは、今でも一つのファッションとして受け入れられている。

 

ビートルズの魅力まとめ

・世界的アイドルかつ歴史的アーティスト

・駄作がない

4人とも主役になれる。4人とも歌い、曲を書く。

リードボーカルが曲ごとに変わる。

・変幻自在な演奏スタイル(ポールはBa,E.Gt,A.Gt,Dr,Key,Vo,Choを担当するマルチプレーヤー)

・飾らない人柄

・アイディア豊富なアレンジ

・現代の常識の先駆け:野球場での演奏・プロモーションビデオ・コンセプトアルバム・自主レーベル(アップル・レコード)等..

空前絶後という言葉が合っているように思います。

 

 

エッセイ「いい曲・素晴らしい音楽とは」

音楽には正解はありません。好みは多様な上、変化もします。

それでも良い音楽という概念は存在しています。

ひとつの大きな考え方では、時間をかけて証明されるものなのではないかと思います。

名曲と言われる音楽は、50年後、100年後・・にも、メロディーやアレンジ・演奏や、そこに込められたアーティストの魅力が聴く人に新鮮な驚きを与え続け、その人の趣味嗜好や生活の楽しみや、考え方や人生にまで、大きな影響を与えてしまうパワーをも秘めています。

どのアーティストの、どんな曲に魅力を感じるかは、その人次第ですが、

大好きな曲を創り出したアーティストとは、時代や場所を超えて、共有できる感動や価値観があるのではないでしょうか。

ビートルズは解散後50年たった今も、多くの人に影響を与え続け、愛され続けています。

 

今回はビートルズについて私なりの考えを、述べさせていただきました。

お読みいただき、ありがとうございました🐈

 


ビートルズ・ピアノ弾き語りメドレー10曲〜精神科医Dr.ChikaのBeatles名曲カバー〜

 

おまけのエピソード「ビートルズのリアルタイム(?)」

私の好きな音楽は、ビートルズやELOなどを中心に、60・70年代の洋楽ポップ・ロックです。

中学生の時にビートルズを好きになってからというもの、自身の世代の流行はそっちのけでした。

リアルタイムではない私にとって、60年代は「ビートルズが大人気だった」という印象をずっと、持ち続けていました。

現在の勤務先である認知症専門老人保健施設で働き出した頃、認知症の軽症者の方を対象とした集団音楽療法(演奏会)で、ビートルズの「Yesterday」「Let It Be」「Help!」を、ピアノで弾き語り演奏をさせていただいたことがあります。

リアルタイムの世代を過ごした利用者さんたちは、当然曲を知っていて、もしかして一緒に口ずさんでくれるのでは、と期待したのですが、利用者さんたちの反応は・・

皆さん「・・・・・(???)」という感じでした。

あれれ?と思いながらも、「Help!」を最後まで歌いきった私だけが完全に浮いてしまったことが、働き始めの良い思い出になりました。(笑)

中には「ミッシェルが好き」などと言ってくれた利用者さんもいたのですが・・お一方でした。

昭和の歌謡曲の演奏に戻ると、皆さん一緒に歌ってくれていました。

予想外の反応に驚くと同時に、「昭和の歌謡曲」の力を痛感しました。

今後、洋楽好きの利用者さんが入所された際には、是非一緒に聴きたいと思っています。

 

【音楽療法新聞】 2020年11月

 

認知症専門床での個別音楽療法 

私が勤務する認知症専門老人保健施設に入所されている認知症の重症者の方に、ヘッドフォンで個々の思い出の曲を聴いていただく個別音楽療法

施行終了した方についての報告です。


Dr.Chikaの『音楽と認知症』パーソナルソングが認知症患者の心を呼び覚ます

個別音楽療法の報告15

匿名Oさん 70代後半/女性 アルツハイマー認知症HDS-R 0点)

【普段の様子】

歩行:手引き リハビリ参加:不可 自発語:あり 問題症状:介護抵抗 意思疎通:可

【好きな曲の情報】

美空ひばり

【反応が良かった聴取曲】

真赤な太陽/港町十三番地/愛燦燦/娘船頭さん(美空ひばり

【聴く前の様子】

表情険しい・テーブルに顔を伏せている

【聴いている時の様子】

曲が始まると、目をつむって手すりを叩いたり足踏み、膝を叩く動作あり。

はっきりと歌っている。スタッフが「美空ひばりさんはずっと好きなんですか?」と尋ねると「何年経ってもそういう思い出いっぱいありますから」と返答あり。普段は険しい表情がやわらいでいた。

 

個別音楽療法の報告16

匿名Pさん 80代前半/女性 レビー小体型認知症HDS-R 4点)

【普段の様子】

歩行:車椅子 リハビリ参加:不可 自発語:あり 問題症状:介護抵抗 意思疎通:可

【好きな曲の情報】

なし

【反応が良かった聴取曲】

真赤な太陽(美空ひばり)・ブルーライトヨコハマいしだあゆみ

【聴く前の様子】

表情険しく拒否的

 【聴いている時の様子】

リズムに合わせて手拍子あり・はっきりと歌っている。涙が出ていた。

「楽しかったよ。ありがとう。憩いの場を作ってもらって・・」とスタッフに話していた。

 

個別音楽療法の報告17

匿名Qさん 80代後半/女性 認知症HDS-R 11点)

 【普段の様子】

歩行:自立 リハビリ参加:一部参加 自発語:なし 問題症状:活動性低下 意思疎通:可

【好きな曲の情報】

美空ひばり

【反応が良かった聴取曲】

真赤な太陽/港町十三番地美空ひばり)・銀座の恋の物語(石原裕次郎・牧村旬子)

【聴く前の様子】

傾眠

 【聴いている時の様子】

表情穏やかに所々歌っている。うなずきリズムをとったり拳を握り踊るような動作を見せる。一緒に聞いていた同テーブルの利用者さんの踊る仕草を見て拍手をしている。社交ダンスの手の添え方をスタッフに教えてくれた。

 

個別音楽療法の報告18

匿名Rさん 80代前半/女性 アルツハイマー認知症HDS-R 8点)

 【普段の様子】

歩行:自立 リハビリ参加:不可 自発語:あり 問題症状:大声 意思疎通:不可

【好きな曲の情報】

大月みやこ

【反応が良かった聴取曲】

港町十三番地美空ひばり)・高校三年生(舟木一夫

【聴く前の様子】

訴えが多く大声を出すなど落ち着かない様子

 【聴いている時の様子】

歌詞の内容を拾って話をしている。「君といつまでも」を聴いた時に「これ加山?」と質問あり、歌手名を覚えていた。曲によっては「あんまりうまくないね。素人みたい。」と辛口の評価も話されていた。ところどころ歌い、頷くようにリズムをとっていた。「大月みやこないの?」と何度も質問あり、大月みやこさんの「涙川」を聴いていただいたところ「知らない、この曲。」と話しながらも、他の曲に比べ落ち着いている様子であった。

 

drchika.hatenablog.com

drchika.hatenablog.com

  

*個別音楽療法は、認知症重症者のQOLの向上や問題症状の緩和を目的に、私が勤務する認知症専門老人保健施設での独自の取り組みとして実施しています。

 

エッセイ「記憶への扉」

最近Electric Light Orchestra(ELO)の曲をよく聴くようになりました。

mr blue skyから辿ってELOを初めて知るようになったつもりでしたが、好きな音楽というものは何かと繋がっているもので、調べてみると、ビートルズの「Free As A Bird」と「Real Love」、ポールマッカートニーの「Flaming Pie」、ジョージハリスンの「Cloud Nine」「Brain Washed」などのプロデュースを行ったジェフ・リンのバンドでした。

よくよく思い返すと、以前ビートルズのカバー演奏活動を行っていたライブバーで、ジェフ・リンの話を聞いたことがあったり、ELOOut Of The Blueに収録されているジャングルという曲をカバー・バンドが演奏していたのを聴いた気がしてきたりと、ELOの曲を聴いたことで記憶の片隅にあった10年以上前の情景が思い出されてきました。

私の音楽の嗜好が多少偏りがあることはさておき、認知症重症者への個別音楽療法において重要なことは、ご本人から得られる情報・手がかりが少ない中で、それぞれの利用者さんの思い出につながる曲を探し当てることです。

認知症の重症者の方は、すでにいろんなお話ができないご状態になっているために、

思い出の曲を聴いている時に、何を思って笑ったり、突然に泣き出したりしているのかまでは残念ながらわかりません。それでも多くの方が、聴きだすと突然に笑顔になって歌い出したり、泣き出したりしていることは、まぎれもない事実として、観察をさせていただいております。

体操をしたり、塗り絵やゲームや書道をしたりなどの通常の作業療法ができなくなっても、最後まで音楽を聴くことはできて、曲を覚えていて歌うこともできる。曲に関連する記憶を回想して何かを話そうとしてくれたり涙を流したりする。

今目の前にいる多くの重症の利用者さんたちには、あまり時間が残されていない現実があります。認知症末期の多くの利用者さんにみられるように、無表情・無言で食事・睡眠・入浴・排泄を繰り返すだけの毎日ではなく、QOLをあげることに貢献できる残された手段として、個別音楽療法の観察研究を続けたいと思います。

 

お読みいただきありがとうございました🎧🐈📰

 

【音楽療法新聞】 2020年10月

 

認知症専門床での個別音楽療法 

私が勤務する認知症専門老人保健施設に入所されている認知症の重症者の方に、ヘッドフォンで個々の思い出の曲を聴いていただく個別音楽療法

施行終了した方についての報告です。


Dr.Chikaの『音楽と認知症』(その10)~パーソナルソングが認知症患者の心を呼び覚ます【携帯電話とスプリッターの活用】~歌って踊って・叫んで・涙して

  

個別音楽療法の報告8

匿名Hさん 70代前半/女性 アルツハイマー認知症 (HDS-R1点)

【普段の様子】

歩行:寝たきり リハビリ参加:不可 自発語:なし 問題症状:活動性低下 意思疎通:可

【好きな曲の情報】

美空ひばりテレサテン

【反応が良かった聴取曲】

悲しい酒(美空ひばり

【聴く前の様子】

ベッド上で不動。開眼している。

【聴いている時の様子】

スタッフを指差し、突然笑う。曲によっては徐々に悲しい表情に。聴き終わってから、椅子とテーブルの間を指差し「汚れるといけないから」と自発語あり。何かを気遣っていた様子。スタッフが「知ってる曲でしたか?」という質問すると「うん」と答える。「悲しい酒」では、目が潤み悲しい表情になった。「美空ひばりさんが本当に好きなんですね」とスタッフが声をかけると、笑顔になる。

 

個別音楽療法の報告9

匿名Iさん 80代後半/男性 認知症 (HDS-R4)

【普段の様子】

歩行:自立 リハビリ参加:一部可能 自発語:あり 問題症状:帰宅欲求・感情失禁 意思疎通:可

【好きな曲の情報】

なし

【反応が良かった聴取曲】

港町十三番地/川の流れのように美空ひばり)・明日があるさ坂本九)・銀座の恋の物語(石原裕次郎・牧村旬子)

【聴く前の様子】

悲しい表情で座っている。スタッフの顔を見ると泣き出す。傾眠のこともあり。

 【聴いている時の様子】

普段からの帰宅欲求・感情失禁のために、涙を流して聞き始めるが、徐々に落ち着く。表情が明るくなり、指を指揮棒のようにふってリズムをとっている。「これレコードだね」と頷くようにリズムをとる。途中、拍手をする。曲が終わると「良かった」と感想あり。

個別音楽療法の報告10【長期継続】

匿名Jさん 70代後半/女性 認知症 (HDS-R2点)

 【普段の様子】

歩行:自立 リハビリ参加:一部可能 自発語:なし 問題症状:徘徊 意思疎通:不良

【好きな曲の情報】

具体的な情報はなかったが、普段からフロアで音楽が流れていると踊っている様子が見られていた

【反応が良かった聴取曲】

バラが咲いた(マイク眞木)・真っ赤な太陽/港町十三番地/みだれ髪(美空ひばり)・上を向いて歩こう/明日があるさ坂本九)・365歩のマーチ(水前寺清子)・銀座の恋の物語(石原裕次郎・牧村旬子)・高校三年生(舟木一夫)・人生いろいろ(島倉千代子)・演歌みち(松原のぶえ)・浪花節だよ人生は/北酒場細川たかし)・浪花恋しぐれ都はるみ岡千秋)・ふたりの大阪(都はるみ・宮崎雅)

【聴く前の様子】

無表情で座っている・徘徊している・ベッドで休んでいる

【聴いている時の様子】

表情にこやかになり、首を横に振る。両手でリズムをとる。歌詞はあやふやだが常に歌っている。「あなたもやってみれば?」とスタッフに声を掛ける。また「若い頃・・」と何かを話そうとする。手を叩いて歌う。「ここがいいのよね」と自発的に話す。手をくるくるさせて踊るような仕草あり。曲始めから両手で踊るようにリズミカルに動き出す。最後まで歌い続ける。スタッフが一緒に歌うと一層明るい表情に。間奏の太鼓の音に合わせて舌を鳴らす。テーブルを爪で叩くこともある。曲によって振り付けやリズムの取り方が違っていた。

【結果】

長期継続試みたが、1ヶ月程続けたところで、他施設へ移動となった。

 

個別音楽療法の報告11

匿名Kさん 80代前半/女性 アルツハイマー認知症 (HDS-R:拒否のため施行不可)

 【普段の様子】

歩行:寝たきり リハビリ参加:不可 自発語:あり 問題症状:介護抵抗・大声 意思疎通:可

【好きな曲の情報】

なし

【反応が良かった聴取曲】

なし

【聴く前の様子】

ベッド臥床。無表情。介護抵抗が強く大声で拒否言動あり。

【結果】

「嫌だよー」「聞きたくないよー」と大声で怒っている。普段から見られる介護抵抗の様子と同様に、音楽聴取に対しても拒否言動が見られたため施行中止。

 

個別音楽療法の報告12

匿名Lさん 80代後半/女性 認知症 (HDS-R8)

 【普段の様子】

歩行:自立 リハビリ参加:一部 自発語:あり 問題症状:傾眠 意思疎通:可

【好きな曲の情報】

なし

【反応が良かった聴取曲】

いつでも夢を(橋幸夫吉永小百合)・君といつまでも(加山雄三)・真っ赤な太陽/港町十三番地美空ひばりブルーライトヨコハマいしだあゆみ)・上を向いて歩こう/明日があるさ坂本九

【聴く前の様子】

傾眠。目を閉じ机に伏せている。

【聴いている時の様子】

頷くようにリズムをとっている。「歌を聴くとなんだか穏やかな気持ちになるね」「やっぱりいいね」と自ら感想をスタッフに伝える。サビを歌い始める。「裕次郎の曲だっけ?」と歌手名を覚えている。「この歌はみんなが知っているような曲なんだよ」と話す。「上を向いて歩こう」を聴くと「九ちゃんもこの曲で有名になったんだよね」と話す。頷いてテーブルを叩きながら聴いている。坂本九の性格や家族のことを知っていて自発的に話す。他の曲でも歌手名を自ら話す。「こういう曲は流行りが終わってもずっと続いていくんじゃないの」と話す。覚醒良好になり開眼している。

 

個別音楽療法の報告13

匿名Mさん 70代後半/男性 認知症 (HDS-R拒否のため施行不可)

 【普段の様子】

歩行:自立 リハビリ参加:不可 自発語:あり 問題症状:活動性低下 意思疎通:可

【好きな曲の情報】

なし

【反応が良かった聴取曲】

バラが咲いた(マイク眞木)・いつでも夢を(橋幸夫吉永小百合)・君といつまでも君といつまでも(加山雄三)・真っ赤な太陽(美空ひばり

【聴く前の様子】

ベッドで臥床・窓際に立って車を見ている

 【聴いている時の様子】

ベッド上で臥床し頭まで布団をかぶったまま聴いていただく。歌い出し、徐々に声が大きくなる。布団から顔を出した。「いいねー!これはいいぞー!」と話す。曲が流れると「わー、びっくりした」と言いながらも歌っている。頷きながら歌い出すが、途中で「もういい。すごくよかった!ありがとう!」と。「よかった。いやーびっくりしたよ。」と話す。

個別音楽療法の報告14

匿名Nさん 80代前半/女性 認知症 (HDS-R3点)

 【普段の様子】

歩行:自立 リハビリ参加:一部 自発語:あり 問題症状:特になく穏やか 意思疎通:可

【好きな曲の情報】

なし

【反応が良かった聴取曲】

君といつまでも(加山雄三)・上を向いて歩こう/明日があるさ坂本九)・365歩のマーチ(水前寺清子)・高校三年生(舟木一夫)・川の流れのように美空ひばり

【聴く前の様子】

椅子に座り、落ちついている

【聴いている時の様子】

「すごくいい声」「両方から聞こえてくるから、すごくいいです」などと話し続ける。鼻歌をところどころ歌っている。「(ヘッドフォンを)落っことしたら大変。コードにつまづいたら大変」と繰り返している。「息子にこういうの買ってもらって聞いてたから」と回想するような発言あり。365歩のマーチでは「ワンツー・ワンツー」と歌いながら足踏み。手拍子もみられる。「石原裕次郎、大好きなの」と歌手名を笑顔で話す。

 

drchika.hatenablog.com

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*個別音楽療法は、認知症重症者のQOLの向上や問題症状の緩和を目的に、私が勤務する認知症専門老人保健施設での独自の取り組みとして実施しています。

【音楽療法新聞】 2020年9月

認知症専門床での個別音楽療法 

私が勤務する認知症専門老人保健施設に入所されている認知症の重症者の方に、ヘッドフォンで個々の思い出の曲を聴いていただく個別音楽療法

施行終了した方についての報告です。


Dr.Chikaの『音楽と認知症』(その8)~パーソナルソングが認知症患者の心を呼び覚ます【方法解説】施行開始! 徘徊をやめて聴いてくれた、歌詞を理解して話してくれた

 

個別音楽療法の報告5

匿名Eさん  90代後半/女性 認知症 (HDS-R1点)

【普段の様子】

歩行:寝たきり リハビリ参加:不可 自発語:なし 問題症状:活動性低下 意思疎通:不良

【好きな曲の情報】

なし

【反応が良かった聴取曲】

上を向いて歩こう坂本九)・365歩のマーチ(水前寺清子

【聴く前の様子】

ベッドに臥床し閉眼している。時々目を開ける。

【聴いている時の様子】

歌詞の内容に反応し、「涙がこぼれるって」「ひとりぼっちで歩くだって」「高校三年生だって」などと話す。少し目が潤み目頭に手を当てている。スタッフを真似て手を叩いている。

 

個別音楽療法の報告6

匿名Fさん   70代後半/女性 アルツハイマー認知症  (HDS-R3点)

【普段の様子】

歩行:自立 リハビリ参加:不可 自発語:なし 問題症状:徘徊 意思疎通:可

【好きな曲の情報】

なし

【反応が良かった聴取曲】

君といつまでも(加山雄三)・いつでも夢を(橋幸夫吉永小百合

【聴く前の様子】

徘徊している。ぼーっとしている様子。

【聴いている時の様子】

ところどころはっきりと歌っている。途中で他利用者が現れた時に、激しく笑った。曲が終わると「はぁ~よかった」と笑顔。目を閉じて口ずさんでいる。鼻をすすり悲しげな表情になることも。何度も目元を拭う。両手で顔を覆い泣き出しそうな表情。スタッフが「歌うのお上手ですね」と話すと「全然」と謙虚な返答あり。

 

個別音楽療法の報告7

匿名Gさん   60代後半/男性 若年性アルツハイマー認知症 (HDS-R2点)

【普段の様子】

歩行:自立 リハビリ参加:不可 自発語:なし 問題症状:徘徊 意思疎通:可

【好きな曲の情報】

なし

【反応が良かった聴取曲】

いつでも夢を(橋幸夫吉永小百合

【聴く前の様子】

徘徊している・カーテンを引っ張りながら外を見ている・無表情

【聴いている時の様子】

時々手を叩く(リズムとは関係なく叩いている様子)。「あ~あってなっちゃうよ」と言って突然笑う。「まぁ大体あれじゃないの?」などと発語が増える。突然、「10くらいあるよ!」と発言。「はーあ」と何度かため息。スタッフが「曲知ってましたか?」と尋ねると頷く。

 

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*個別音楽療法は、認知症重症者のQOLの向上や問題症状の緩和を目的に、私が勤務する認知症専門老人保健施設での独自の取り組みとして実施しています。

 

【COVID-19】認知症老健の新型コロナ大作戦!

新型コロナウイルス感染症の世界的流行に伴い、私が勤務する認知症専門老人保健施設では、100名近くの利用者さんを感染から守るべく、様々な対策を行なっています。

看護師のKさんと対話形式の動画とともに、ご紹介をさせていただきます。 


Dr.Chikaの『認知症老健のコ〇ナ大作戦』~マスク・検査、チーム編成、雨合羽防護服+コ〇ナ禍によるメンタル問題

マスクの難しさ

施設の利用者さんは、認知症の症状のためにマスクをマスクとして認識することが難しい状況です。

外して捨ててしまったり、異食してしまったり、枕の裏やズボンの中などに溜め込んでしまったり、様々な理由でマスクの着用が難しい状況があります。

利用者さん全員にマスクを着用していただくことが難しい分、職員の感染予防・体調管理の徹底や集団でのリハビリ・レクリエーションの中止など、感染拡大を予防するための対策を行い日々改善を重ねています。

施設への感染経路

ご家族との面会が休止されている中で、主な感染経路は無症状の職員からの感染や、職員による接触感染の媒介、または新規入所の利用者さんからの感染など、外からウイルスが持ち込まれることが想定されます。

認知症老健では職員の感染予防対策に加え、新規利用者さんの入所前の抗体検査を無償で行っています。

検査

7月までに全職員を対象とした抗体検査を行いました。

また発熱などの体調不良がみられる利用者さんに対しては、施設内で抗原検査を行っています。

施設内での検査は、抗体検査・抗原検査ともに無償で行なっています。

また、新型コロナの症状が疑われたり濃厚接触の可能性がある職員、および同居のご家族様は、関連病院でのPCR検査を迅速に行い、陰性を確認した上で出勤をしていただいています。

職員または利用者の中で、一人でも陽性者が出た場合は、施設独自の判断で、迅速に、全職員・全利用者を対象にPCR検査を行う方針です。

そのような事態に備え、各部署内での緊急連絡網を整備し、シミュレーションを行なっています。

 

施設内で陽性者が出た場合

施設内を3つのエリアに分け、各エリアごとにチーム分けをした職員を配置します。

  1. 隔離エリア(感染者と濃厚接触者):Aチーム
  2. 同フロアの隔離外エリア:Bチーム
  3. 別フロアのエリア:Cチーム

普段とは異なる動きになるため事前のシミュレーションが重要です。

メンタルの問題

新型コロナの問題は多岐にわたり、経済への打撃やメンタルの問題が世代を問わず重要になってきます。

経済面・精神面の不安定から犯罪が増えたり、不安・抑うつなどの症状が長く続くことで自殺者の増加などの深刻な問題にも発展しかねません。

老健認知症の方々と昼夜をともにする私たちからの視点で、メッセージを盛り込ませていただきました。

認知症老健からのメッセージ〜

私が勤務する認知症専門老人保健施設では、認知症やその他の精神疾患を患いご自宅で生活されることが困難な高齢者の方が100名近くご入所されています。

精神科専門施設の特性上、身寄りがない、お金がない、という方が多くご入所されています。

しかし世間のイメージとは裏腹に、施設内は利用者さん、職員ともに明るく楽しい雰囲気です。

みなさん大変な思いをされてご入所に至っていますが、それを乗り越えて、日々の生活を楽しんでいらっしゃいます。

職員共々、医療やリハビリ・介護など様々な側面から利用者さんと多くの時間を一緒に過ごさせていただく中で、利用者さんの笑顔やユーモアに、パワーをいただいています。

人生の過程でいろんなものを失ったように感じることがあっても、最後には笑顔で過ごせることが幸せであることを、利用者さんから教えていただいているように思います。

 

雨合羽「防御服」シミュレーション

最後に、老健での防御服を実際に着用してご紹介しています。

体調不良の利用者さんが出たときに備えて、日常的に用いられる使い捨て雨合羽・シャワーキャップなどを応用して、施設独自の防御服を作りました。

万が一施設内で陽性者や疑い者が出た場合は、病院に入院までの期間、施設内での感染拡大を最小限に抑えられるよう、事前の話し合い・シミュレーションを重ねています。

重症化リスクの高い、認知症や身体疾患など基礎疾患を持った高齢者が集団で生活をされている、施設での集団感染の報告が相次いでいます。都内にある私たちの施設も対岸の火事とは言えません。

施設職員皆で協力をして、対応していきたいと思います。

 

drchika.hatenablog.com

【音楽療法新聞】 2020年8月

認知症専門床での個別音楽療法 

私が勤務する認知症専門老人保健施設に入所されている認知症の重症者の方に、ヘッドフォンで個々の思い出の曲を聴いていただく個別音楽療法

施行終了した方についての報告です。作業療法士さんとの動画と共に、お届けします。


Dr.Chikaの『音楽と認知症』(その7)~パーソナルソングが認知症患者の心を呼び覚ます【方法解説】施行開始!Dさんの反応と昭和の音楽背景

個別音楽療法の報告4【長期継続】

匿名Dさん  70代後半/男性 アルツハイマー認知症(HDS-R3点)

 【普段の様子】

歩行:手引き リハビリ参加:不可 自発語:なし 問題症状:介護抵抗・作業せん妄 意思疎通:不良

【好きな曲の情報】

具体的な曲の情報はないが、普段から周りで音楽が流れていると歌う様子が見受けられ、音楽が好きな様子があった。

【反応が良かった聴取曲】

銀座の恋の物語(石原裕次郎・牧村旬子)・浪花恋しぐれ都はるみ岡千秋)・北酒場細川たかし)・大阪しぐれ都はるみ)・舟唄(八代亜紀)・新宿ブルース(扇ひろ子)・真っ赤な太陽(美空ひばり)・ブルーライトヨコハマいしだあゆみ)・上を向いて歩こう坂本九

【聴く前の様子】

テーブルを動かしている・椅子に触っている・服をいじりながら独語あり・靴を脱いだり、靴下に手を入れている・手すりを叩いている

【聴いている時の様子】

表情が明るくなり常に鼻歌を歌っている。時々膝を叩く様子あり。歌詞を口ずさむ。テーブルを叩いてリズムをとっている。曲が終わると手が止まる。「なかなか自分から歌が上手くなるのは難しいよね」と涙を流す。音楽を流しだすと指でOKサインをした。「こういうのを聞いて、ここでやればいいと思う」など自発的な発言が増える。膝を叩き足も持続的に動いている。スタッフが「知ってる曲はありましたか?」と聞くと「まぁ大体は」と答え意思疎通が取れている。ジェスチャーを入れながら感想を話そうとしている。聴き終わると「お互い頑張りましょう」と発言あり。「母ちゃんはズバズバいう人だった」と回想する発言もあり。歌詞がはっきりと歌うこともあった。

【長期継続の結果】

 とても反応が良いことと、個別音楽療法以外のリハビリ介入が困難なご状態であることから、3ヶ月間継続した。

HDS-Rの変化:3点(施行前)→4点(1ヶ月後)→3点(2ヶ月後)→3点(3ヶ月後)

QOLスコアの変化:17点(施行前)→22点(1ヶ月後)→22点(2ヶ月後)→22点(3ヶ月後)

【普段の様子の変化・特記事項】

食事介助を行なっていた介護士さんより、食事を自力で食べるようになったと、嬉しい報告があった。

 

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*個別音楽療法は、認知症重症者のQOLの向上や問題症状の緩和を目的に、私が勤務する認知症専門老人保健施設での独自の取り組みとして実施しています。

「新型コロナウイルスから認知症高齢者を守ろう」1.消毒

新型コロナウイルス感染症の世界的流行に伴い、私が勤務する認知症専門老人保健施設では、100名近くの利用者さんを感染から守るべく、様々な対策を行なっています。

今回は消毒について、看護師のKさんと対話形式の動画とともに、ご紹介をさせていただきます。 


Dr.Chikaの『新型コロナウィルスから認知症高齢者をまもろう』~1.消毒

 

施設の中での消毒(職員)

  1. 職員玄関に消毒液設置:出勤したらまずは手指消毒
  2. 1ケア(手技)1手洗い:消毒液を小ボトルに入れて持ち歩き、1ケア・1手技ごとに、手指を消毒する

施設の中での消毒(利用者さん)

  1. 食事前の手洗い:石鹸での手洗いを介助する
  2. 食事前・おやつ前の手指消毒:手洗いに加えて、消毒液を利用者さんの手にプッシュして回る。自身で手を擦り合わせてくれる方が多いです。

帰宅時の消毒(職員)

  1. 手指消毒
  2. 鞄や郵送物などの表面の拭き取り
  3. 靴をスプレー消毒
  4. まずは入浴

施設内の消毒・掃除・換気

  1. 机やドアノブなど、触れやすい場所を中心に消毒・掃除
  2. 換気:出来るだけドアを解放する。サーキュレーターを設置。

 

利用者さんご自身では、感染予防を行うことができないご状態です。

また処置や介助の際には、利用者さんに直接触れるため、接触感染のリスクがあります。

職員が媒介することがないよう、施設内での1ケアごとの手指消毒を習慣化するとともに、日常生活での感染予防策を徹底し、施設内にウイルスを持ち込まないよう、

努めて行きたいと思います。

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【音楽療法新聞】 2020年7月

認知症専門床での個別音楽療法 

私が勤務する認知症専門老人保健施設に入所されている認知症の重症者の方に、ヘッドフォンで個々の思い出の曲を聴いていただく個別音楽療法

施行終了した方についての報告です。作業療法士さんとの動画と共に、お届けします。


Dr.Chikaの『音楽と認知症』(その6)~パーソナルソングが認知症患者の心を呼び覚ます【方法解説】施行開始!A・B・Cさんの反応

個別音楽療法の報告1-1

匿名Aさん   70代前半/女性 前頭側頭型認知症HDS-R 7点)

【普段の様子】

歩行:自立 リハビリ参加:一部 自発語:なし 問題症状:独語 意思疎通:可能

【好きな曲の情報】

美空ひばり 

【聴く前の様子】

独語が見られ、声かけにも拒否的

【結果】

ヘッドフォンをつけようとすると怒ってしまい、聴きたくない様子。

★追記:個別音楽療法の報告1-2(再施行)

約10ヶ月後、時期を変えて、再度試みました。

初回とは全く異なり、大変良い反応が見られました。

【反応が良かった聴取曲】

川の流れのように/リンゴ追分/真っ赤な太陽/お祭りマンボ/港町十三番地/愛燦燦/越後獅子の歌(美空ひばり)

【聴く前の様子】

徘徊している・椅子に座りずっと腕を掻いている・穏やか

 【聴いている時の様子】

曲が始まるとすぐに声量大きく歌いだす。笑顔絶えず、時々声をあげて笑う。独自の歌詞やテンポで歌うことも。Aメロが流れている時にサビを歌っていることもある。「涙こらえて」「涙こぼして」「泣かないよ」といった涙と関連のあるワードを独自に歌詞に入れて歌っている。「パンパンパン・・」と言いながら手を広げたりアクションが入ることもある。足でリズムをとっている。一緒に聴いている利用者さんの歌声に「すごい声」と笑っていた。

【コメント】

初回施行時はヘッドフォンをつけようとすると怒ってしまい、施行ができませんでしたが、その後精神症状が落ち着いてきた様子であったため、再施行を試みました。

その結果、大変良い反応が見られました。怒りっぽくなることも認知症の症状の一つですが、心理的な症状は時間の経過に伴い変化していきます。ご本人のペースに合わせて、時間や時期を調整して施行することが大事であると感じました。

 

個別音楽療法の報告2

匿名Bさん   90代前半/男性   認知症HDS-R 4点)

【普段の様子】

歩行:自立 リハビリ参加:不可 自発語:なし 問題症状:異食・食事摂取低下 意思疎通:不良

【好きな曲の情報】

なし

 【結果】

施行開始日の前日に、身体の体調不良のため点滴を開始した。

止むを得ず施行を中止した。

 

個別音楽療法の報告3【長期継続】

匿名Cさん  60代前半/女性 認知症HDS-R 5点)

 【普段の様子】

歩行:寝たきり リハビリ参加:不可 自発語:あり 問題症状:大声 意思疎通:可能

【好きな曲の情報】

山口百恵・荻野目洋子・郷ひろみ:ご家族よりCDを持参いただいた

【反応が良かった聴取曲】

いい日旅立ち/イミテーションゴールド/プレイバックPart2/ロックンロールウィドウ/横須賀ストーリー/乙女座宮/謝肉祭/青い果実/愛に走って(山口百恵

【聴く前の様子】

ベッド上で傾眠・眉間にしわを寄せて無言・大声で独語が続いている時もある

【聴いている時の様子】

はっきりと声に出して歌っている:手足を共に動かしている。常に笑顔。特に好きな曲では最も大きな声が出る。2度目以降はスタッフが音楽を聞きましょうと声かけをするだけで目を見開き笑顔に。前奏から「パパパ」と歌いだす。自ら曲名を言う。曲を止めると、口角が下がりがっかりする様子。山口百恵さんのCDを一通り聴き終わり他のCDに変更すると、「知らない」と顔をしかめどんどん表情が曇る。「変えてー」と嫌がっている。再び山口百恵のCDに戻すと笑顔で歌いだす。山口百恵の話を自ら語り始める。曲が終わった後もリズミカルに声出しあり。「愛に走って」が最も反応良く、腕を上下させてリズムをとる。笑い声を漏らしながら歌う。

【長期継続の結果】

 とても反応が良いことと、個別音楽療法以外のリハビリ介入が困難なご状態であることから、3ヶ月継続した。

HDS-Rの変化:5点(施行前)→8点(1ヶ月後)→11点(2ヶ月後)→6点(3ヶ月後)

QOLスコアの変化:18点(施行前)→21点(1ヶ月後)→21点(2ヶ月後)→21点(3ヶ月後)

【普段の様子の変化・特記事項】

大声を出すことが少なくなった。 

 

drchika.hatenablog.com

 

drchika.hatenablog.com

  

*個別音楽療法は、認知症重症者のQOLの向上や問題症状の緩和を目的に、私が勤務する認知症専門老人保健施設での独自の取り組みとして実施しています。

【楽曲制作】作曲・録音 〜眠りのためのオルゴール曲ができるまで〜

眠れるオルゴール「GoodNight」

これまでに作曲した楽曲の中で、最も多く再生をいただいている曲です。

お聴きいただき、どうもありがとうございます。

少しでも、眠りやすくなった・・という方がいたらとても嬉しく思います。


【Sleeping 精神科医作曲】眠れる曲オルゴールバージョン【Goodnight】 赤ちゃん ・子どもにも 眠れる睡眠音楽

 

今回は、オルゴール曲が出来上がるまでの過程の中で、作曲の流れについての概要をお伝えさせていただきます。

作曲・録音

(1)メロディー(モチーフ)のストック

現在制作している楽曲は、過去に思いついたメロディーをボイスレコーダーへ録音・ストックしておいたものを元に、随時メロディーを補足して編曲を行っています。

メロディーが浮かんだ時に、忘れないよう、ボイスレコーダーや携帯のボイスメモに録音をしています。

この一つのメロディーのまとまりをモチーフと言います。

中には10年以上前に録音したデータもありますが、年月が経ってから改めて聴き直し、使えるものを選んだ上で、制作を始めます。

 

(2)メロディの補足

一つの曲には複数のメロディのまとまりがあります。

曲に出てくる順番でAメロ・Bメロ・Cメロ・・と呼ばれます。

J-PopではCメロ=サビである3部構成であることが多くなっています。

Bメロ=サビの場合は2部構成と言われます。(ビートルズの曲は2部構成が多いです。)

(1)で思いついたメロディは大体サビなどの曲の1部分であることが多いため、残りの部分のメロディーを、その場で考えて補いながら、midi鍵盤で全体を録音していきます。

(3)コードを録音

まずはメロディに当てるコードを探って簡単なコード譜としてメモします。

DTMで音色等の設定を行い、仮のテンポを決めてから録音ボタンをおして、数小節を目安に演奏していきます。

(4)メロディを重ねる

コード伴奏に合わせて、メロディを重ねて録音します。

(5)逆の場合などもある

ここまで基本的な流れを記載いたしましたが、特に決まりがあるわけではなく、随時順序が前後する場合もあります。

例えば先にメロディを録音してから、コードをつける場合もあります。

midi録音の場合は録音後のデータ修正は可能ですが、できるだけ正確に録音しておいた方が編集の作業がよりスムーズになります。

録音する部分は基本的には各メロディにつき1回で、ワンコーラス分(歌謡曲での1番の部分)です。

 

録音が終わったら、編集の作業に入ります。

 

(5)編集方法 

編集方法(DTMの基本的な内容)については、以下のサイコセラピー研究所のブログの方で、概要を書かせていただいております。

 

www.allin1.co.jp

 

簡単ではありますが、メロディーを思いついてから、楽曲データが仕上がるまでの概要をお伝えさせていただきました。

 

お読みいただき、ありがとうございました🐈🎧♫

 

 

 

 

【音楽と認知症】認知症重症者への「個別音楽聴取」2018/2019施行結果と学会発表の記録

2018.4月〜11月にかけて、個別音楽聴取の効果判定を目的に、認知症専門老健保健施設での施行を行いました。

4月〜8月までの結果を2018の日本精神科医学会(長野)で、4月〜11月までの結果を2019の精神神経学会(新潟)で発表させていただきました。

2018/2019までの結果と学会で発表させていただいた内容をまとめたいと思います。


Dr.Chikaの『音楽と認知症』パーソナルソングが認知症患者の心を呼び覚ます

 

日本での認知症への音楽療法の位置づけ

認知症疾患治療ガイドライン2017でBPSDへの対応は非薬物療法を優先することが原則とされている

音楽療法も提案されているがエビデンスが弱い

音楽療法の分類

能動的音楽療法:演奏を集団で行う(集団音楽療法

受動的音楽療法:音楽を鑑賞する(個別音楽聴取はこちらに分類される)

日本の先行研究

・いずれも集団音楽療法が主に軽度の患者を対象に施行されている

・結果は軽度・中等度患者では有意な症状改善を認め、重度では改善を認めなかったとされている

・ヘッドフォンを介した音楽刺激で好みの音楽での脳波の反応性の増強を認めたり

・幼少期の曲よりも成人期に歌った歌謡曲で肯定的な反応を示す傾向があると報告されている

 

日本で行われている認知症への音楽療法まとめ

重度認知症患者への積極的な施行は行われていない

個別の介入や受動的な音楽聴取についての研究は不施行であり、検証が必要

 

米国で行われているPML(Personalized Music Listening)

重度認知症患者への個人別音楽聴取による不穏症状改善が報告されている

Linda Gerdnerの先行研究

・好みの音楽を聴かせることで不穏症状が減少するという実証研究を報告

・リラクゼーションに用いられるクラシック音楽よりも個人的な好みの音楽で症状が有意に改善することを示した

・好みの音楽をヘッドフォンで聴取する「Personalized Music Listening:PMLのガイドラインを作成

 

施行の目的

・日本で未施行である重度認知症患者へのPMLの施行可能性と有効性の検証

・その再現性や集団聴取、Group Music Listening:GMLとの比較

・他の手段による能動的リハビリ介入を行うことのできない最重症者へのPMLの施行可能性・有効性についての検証

 

方法

認知症老健の入所者から10名の対象者を選定

様々な周辺症状がみられるリハビリ介入が困難な最重症者(A〜Jさん)を選定

初回施行の方法

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初回施行のスケジュール

・各々に対し1か月ずつPMLを施行

・施行期間前後1ヶ月を含め、職員の協力の下、24時間体制で状態観察を行い症状観察シートに記録

・週1回QOL評価表・BPSDスコア・フェーススケールを用いて評価

 

再施行・集団聴取の方法

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再施行・集団聴取のスケジュール

・初回施行後1ヶ月経過後に、入所継続の5名に対し再施行・集団聴取施行

・初回同様に1ヶ月間再施行・その2週間後に集団聴取を同曲目、同頻度で1ヶ月間施行

・観察、評価方法は初回と同様

 

聴取曲選定

認知症患者の年齢や時代背景などから、成人期に聴いたと思われる歌謡曲を厳選し14曲を事前に選定

個別に好きな曲を聞き取れた場合は事前選定曲に加え、個人別のCDを作成した

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事前選定曲

施行内容の詳細

・1回15分間・週に3回・全14回ヘッドフォンで聴いていただいた

音楽療法室またはベッドサイドやフロアにて、複数名同時に施行した

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設置した音楽療法

結果

初回個別聴取の結果

(1)QOLスコア:A〜Jさんの10名中、施行期間中に退所した3名(Dさん・Hさん・Jさん)は評価から除外し、7名のグラフを作成・評価した。7例中5例で改善傾向を認め、効果は1週間程で消失した。

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(2)BPSDスコア:同様の7例中、2例で改善

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(3)フェーススケール:変動は見られるが全体的な改善傾向を認め、効果は1週間程で消失した。

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個別聴取再施行・集団聴取の結果

QOLスコア:入所継続のA・F・Gさんへの再施行で、改善傾向再現がみられたが初回より反応性は低下。GMLでは改善傾向は認めなかった

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 BPSDスコア:同様の3名について、ほぼ不変で、改善例はなかった

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フェーススケール:ほぼ不変で初回より反応は低下。GMLともに改善傾向なし。

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その他の特記事項

初回PML:認知症以外の精神疾患の合併のある2例で拒否あり。合併のない例は施行可能であり、程度の差はあるが全例で何らかの反応・効果を認めた。不穏の減少・言語能力の改善に特に効果を認め、施行終了後も持続する例があった。

PML再施行:施行中の表情変化・歌唱の反応性が初回より減少した

GML:施行中の表情改善はみられたが歌唱はPMLより減少した

個別事象

・疎通困難な対象者同士で施行時間内外での自発的挨拶や簡単な会話など社会性の向上がみられた

失語が顕著な例で歌詞の歌唱や発語単語数の増加がみられた

易怒性を認めた例で施行時間外にも自発的に歌唱がみられ、表情改善・不穏減少を認めた

考察

施行可能性について

能動的リハビリ介入が困難な最重症者へ施行可能であった

有効性について

不穏減少や言語能力の改善に特に有効な可能性が示唆された。

・反応・効果の有無には個人差が大きかった

・終了後1週間程で効果が消失したため持続的な介入が必要と考えられた

効果の再現性について

QOLスコア改善の再現は可能であったが、初回より反応性は減少

PMLとGMLとの比較について

・集団聴取よりもヘッドフォンを用いた個別聴取による有効性が示唆された

その他 

他の音楽療法と比較しても最重症者へ施行可能な点が重要と考える

 

まとめ

・重度認知症患者10名を対象に個人別音楽聴取を1ヶ月間施行し5名を対象に再施行・集団聴取との比較を行った。

・不穏減少や言語能力の改善への有効性が示唆された

QOLスコア・フェーススケールの全体的な改善傾向を認めた

・再施行よりも初回で有効、集団聴取よりも個別聴取で有効であった

・日本でのPML施行可能性が確認され、重度認知症患者への非薬物療法としての有効性が示唆された

 

お読みいただき、どうもありがとうございました。🐈🎧🎵

 

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【音楽療法新聞】 2019年12月〜クリスマス演奏会〜

12月25日は今年最後の演奏会でした。

認知症老健での集団音楽療法を始めてからもうすぐ4年になります。

クリスマス演奏会の様子


【精神科医Dr.Chika】『老健クリスマス演奏会』

曲目

〜(前半)クリスマス・ソング

  1. 赤鼻のトナカイ
  2. きよしこの夜
  3. サンタが街にやってくる
  4. ジングルベル

〜(後半)昭和の歌謡曲など〜

  1. たき火
  2. 川の流れのように
  3. 乾杯(職員へのお祝い:特別演奏)
  4. 北酒場
  5. 兄弟船

 

今回もみなさん楽しそうに歌ってくれました🎄来年もよろしくお願いします🎍