精神科医Dr.Chikaの音楽と認知症

楽曲制作と認知症音楽療法に取り組んでおります。文章を書くのはあまり得意な方ではないため、読みづらい箇所もあるかと存じますが、ご容赦いただければ幸いです。

人類の未来年表と好きな曲に秘められた可能性[エッセイ]

12月になり、認知症専門床では、いつもと変わらない時間が流れています。

流れているというよりは、止まっているという表現の方が合っているのかもしれません。皆さん、季節も日付も時間も場所も関係なく、一瞬・一瞬のやり取りの中で、日々を過ごされています。

今年までに行なった個別音楽療法の全体的な結果分析については、後日改めてまとめさせていただきたいと思っていますが、先に少しだけ、聴いている時の表情の変化についてお伝えさせていただくと、一定期間以上思い出の曲を聴いていただいた32名の方のうち、29名で聴いている時に表情の変化がありました。普段は見せない様な笑顔になることもあれば、悲しそうだったり泣いていることもありました。

感情を司るのは脳の中でも扁桃体と呼ばれる部分で、音楽を聴いたときに大脳の聴覚野からの情報が伝わって扁桃体が刺激され、表情の変化や血圧・脈拍の変化などの情動面の変化が生じます。

一般的に認知症でも感情の働きは障害を受けにくいとされますが、個別音楽療法の対象者である重症の方であっても、ほとんどの方で感情が保たれている、ということを確認できたように思います。

また感情が保たれているということは、介助の仕方や声かけの仕方一つで、認知症の方が心地よく過ごせるかどうかが左右されることへの根拠にも繋がるように思います。

 

さて今年の新型ウイルスについて、どの様に考えるかは様々かと思いますが、私は今後ワクチンの開発などによって事態が収束に向かったとしても、元の生活に戻る方向よりも、新しい時代にシフトをしていく動きを想定しています。

今後も同様の事態への対策が余儀なくされる以上は、例えば地方分散化や人の移動の減少、蜜を避けた行動などのリスクマネジメントの強化は引き続き意識されるのではないかと思いますし、対人業務の減少とともにITの需要が一層高まり、オンラインでの消費形態が促進されることで輸送の需要が高まるなど、素人ながらもなんとなく予想できそうなことはありそうです。

また、この数百年で世界的に人口が爆発的に増え、産業が急速に発展したことで、地球温暖化の問題も同時に表面化してきているようです。

さらに高齢化社会に伴う認知症の罹患者の急増と、それに伴う介護の人員不足の問題が明るみに出てくることが予測されます。

大きなスパンで、環境問題や感染症対策を視野に入れた人類の生活様式の変化を余儀なくされているフェーズに入って来ている、というように、感じています。 

 

様々な未来の課題の中で、私が取り組んでいる「認知症の問題」については、2040〜50年頃には人口ピラミッドが逆転し、少ない労働人口で多くの高齢者を支えることになると予想されています。高齢者が増えれば、それに比例して認知症の方も増えます。そうなった時に、このままでは多くの認知症の方が、有意義な形で最期の時期を過ごせなくなってしまうのではないか、ということを私は危惧しています。

 

認知症の治療薬の開発への希望もありますが、現在、認知症施設に入所される方々の経緯を見ていて感じることは、高齢者の生活背景は様々で、ご家族のサポートのもとで適切なタイミングで受診や治療を始められる方は決して多くはないということです。また、認知症の問題は、将来とは言わず、すでに起こり始めていることは、日々のニュースなどの中でも、感じられるのかもしれませんが、私の施設に入所される方の経緯からも、問題症状のためにご自宅での介護が限界となったり、あるいは虐待から保護されて入所されるといった方が多くいらっしゃいます。

 

表面化してきている認知症の問題に対し、ヘッドフォンで思い出の曲を聴く手法ならば、多くの施設や家庭で、誰でも簡単に行えるものです。

QOLの向上や、問題症状の緩和、言語能力が改善する可能性については、米国での報告や、私の勤務先の施設で多くの方に聴いていただいた様子からも、観察されています。

さらに掘り下げて、どれほどの方に、どのくらいの効果があるのか、を見るためには、より多くの方へ、施行を続ける必要があると思います。

来年も引き続き、多くの利用者さんと思い出の曲を聴いていただきながら、効果を探っていきたいと思います🎧

 

お読みいただきありがとうございました🎧🐈📰

 

 

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