精神科医Dr.Chikaの音楽と認知症

楽曲制作と認知症音楽療法に取り組んでおります。文章を書くのはあまり得意な方ではないため、読みづらい箇所もあるかと存じますが、ご容赦いただければ幸いです。

認知症の方との会話2020 12/26[接し方]

認知症の方への接し方はとても重要です。言葉かけ一つで、心理的な症状が良い方にも、悪い方にも、変化してしまうからです。

しかし、実はそんなに難しいものでもありません。

私たちの普段の会話と同じ部分と、少し違う部分を感じ取ることに

お役に立てれば幸いです。

 

認知症の方への接し方

重度の認知症の方々と接する時に、個人的に感じているポイントは

  • 楽しい気持ちになるようにする
  • 安心させてあげる
  • ユーモアを活用する
  • 近い距離で親身になって聞く
  • 口調が大事
  • 表情も大事
  • 聞こえずらそうだったら耳元で大きい声で話す

など、割と当たり前のようなことです。

 

私たちの普段の会話でも、

  • 少しの口調の違いによって、いい気持ちにも嫌な気持ちにもなる
  • ユーモアがあったら面白いので笑う
  • ちゃんと聞いてくれているかどうか伝わってしまう
  • 相槌がそっけないと嫌な気分になる

などというようなことはよくあると思います。

吐き捨てるようなぶっきらぼうな口調で話しかけられたり、無表情で機械的な相槌を打たれたら、嫌な気持ちになるのが普通だと思います。

逆に穏やかな口調でユーモアがあって面白ければ、笑って気分が良くなって、その後しばらくハッピーな気持ちになったりすることもあると思います。

 

それは認知症の方も同じです。

 

どうして同じなのかというと、脳は領域によって働きが分かれていて、認知症の方では記憶障害の原因となる部位(海馬)の神経細胞が傷害されていても、言語を理解する領域や感情を司る領域などの脳の働きが残っている場合が多いからです。特に感情の働きは認知症が進行しても保たれやすいと言われます。

実際の会話例

認知症専門床の様子です。

例えばつい昨日のことですが、

精神発達遅滞と認知症の女性の利用者さんが、トイレから戻ると、ズボンを上げて歩きながら、私の方を見て「先生、おしっこ!」と何度も言って近寄ってきてくれましたので、

「私はおしっこではありません!笑」と言いました。するとニコニコと楽しそうにして、そのまま席に戻っていきました。

一般的な認知症の方への原則では「否定してはいけない」というものがありますが、

私たちの会話でも、否定することが逆にユーモアになったりすることもあるのと同じで、いつも原則どおりという訳ではないです。

もちろん「自分でトイレに行ってこれたんだね、よかったね。」とか、ひたすら優しく接してあげることも、いいのですが、適度に親しみを込めて否定形のユーモアで返した方が、お互いに楽しい気持ちになったりするので、人によっては、こんな風にあえて否定系で返します。

人によって言葉や反応を変えることも、私たちの普段の会話においても当たり前のことだと思います。認知症の方と話す時でも、同じです。

 

ただし違うところがあるとすれば、背景に病気があることを理解する必要があるということです。

 

例えば昨日は12月25日クリスマスでしたが、その話を持ちかけるとある男性利用者さんが

「プレゼント買ってきてあげる。何がいい?ピアスでもネックレスでも、ブレスレットでも何でもいいよ!」と、言ってくれました。笑

この方は普段から現実離れをした会話(妄想様の発言)をよくする方なのですが、

それを否定したりして機嫌を損ねると、急に表情が険しくなって、独り言を始めたりなど、調子が悪くなってしまいやすい方でもあります。

差し障りのない範囲で、その人の想像している世界に、適度にのってあげることが大事です。なので

「ありがとう!じゃあネックレスお願いしてもいい?」と、答えます。

ここで演技っぽさを出すと違和感を感じられてしまうので、ごく自然にです。

実際には、利用者さんは外出をすることはできず、買い物をするだけの能力もないことが現状です。

私がプレゼントのお願いをしたからと言って、立ち上がって買いに行ったりはしません。

それでもそうやって答えて、その人の世界に少し合わせてあげるだけで、

満足をしてくれるんです。

それでまたお互いに楽しい気持ちになるんですね。

 

こんな風に、認知症の方との会話はとても楽しいのです。