精神科医Dr.Chikaの音楽と認知症

楽曲制作と認知症重症者への個別音楽聴取に取り組んでいます。

【音楽療法新聞】 2020年8月

認知症専門床での個別音楽療法 

私が勤務する認知症専門老人保健施設に入所されている認知症の重症者の方に、ヘッドフォンで個々の思い出の曲を聴いていただく個別音楽療法

施行終了した方についての報告です。作業療法士さんとの動画と共に、お届けします。


Dr.Chikaの『音楽と認知症』(その7)~パーソナルソングが認知症患者の心を呼び覚ます【方法解説】施行開始!Dさんの反応と昭和の音楽背景

個別音楽療法の報告4【長期継続】

匿名Dさん  70代後半/男性 アルツハイマー認知症(HDS-R3点)

 【普段の様子】

歩行:手引き リハビリ参加:不可 自発語:なし 問題症状:介護抵抗・作業せん妄 意思疎通:不良

【好きな曲の情報】

具体的な曲の情報はないが、普段から周りで音楽が流れていると歌う様子が見受けられ、音楽が好きな様子があった。

【反応が良かった聴取曲】

銀座の恋の物語(石原裕次郎・牧村旬子)・浪花恋しぐれ都はるみ岡千秋)・北酒場細川たかし)・大阪しぐれ都はるみ)・舟唄(八代亜紀)・新宿ブルース(扇ひろ子)・真っ赤な太陽(美空ひばり)・ブルーライトヨコハマいしだあゆみ)・上を向いて歩こう坂本九

【聴く前の様子】

テーブルを動かしている・椅子に触っている・服をいじりながら独語あり・靴を脱いだり、靴下に手を入れている・手すりを叩いている

【聴いている時の様子】

表情が明るくなり常に鼻歌を歌っている。時々膝を叩く様子あり。歌詞を口ずさむ。テーブルを叩いてリズムをとっている。曲が終わると手が止まる。「なかなか自分から歌が上手くなるのは難しいよね」と涙を流す。音楽を流しだすと指でOKサインをした。「こういうのを聞いて、ここでやればいいと思う」など自発的な発言が増える。膝を叩き足も持続的に動いている。スタッフが「知ってる曲はありましたか?」と聞くと「まぁ大体は」と答え意思疎通が取れている。ジェスチャーを入れながら感想を話そうとしている。聴き終わると「お互い頑張りましょう」と発言あり。「母ちゃんはズバズバいう人だった」と回想する発言もあり。歌詞がはっきりと歌うこともあった。

【長期継続の結果】

 とても反応が良いことと、個別音楽療法以外のリハビリ介入が困難なご状態であることから、3ヶ月間継続した。

HDS-Rの変化:3点(施行前)→4点(1ヶ月後)→3点(2ヶ月後)→3点(3ヶ月後)

QOLスコアの変化:17点(施行前)→22点(1ヶ月後)→22点(2ヶ月後)→22点(3ヶ月後)

【普段の様子の変化・特記事項】

食事介助を行なっていた介護士さんより、食事を自力で食べるようになったと、嬉しい報告があった。

 

drchika.hatenablog.com

drchika.hatenablog.com

  

*個別音楽療法は、認知症重症者のQOLの向上や問題症状の緩和を目的に、私が勤務する認知症専門老人保健施設での独自の取り組みとして実施しています。