精神科医Dr.Chikaの音楽と認知症

楽曲制作と認知症音楽療法に取り組んでおります。文章を書くのはあまり得意な方ではないため、読みづらい箇所もあるかと存じますが、ご容赦いただければ幸いです。

【音楽】ビートルズの魅力

今回はビートルズについて、私なりの考えをまとめさせていただきます。

 

概要

イギリス・リバプール出身の4人組ロックバンド。

196210月に「Love Me Do」でデビューしてから19704月の解散までの間に公式オリジナルアルバム13枚(Magical Mystery Tour含む)とPast Maters Vol1&2収録の213曲を発表した。(Past Maters Vol1収録のドイツ語ver2曲を除くと211曲/Revolution1とRevolutionを同じとすると210曲) 

リンゴスター(1940.7.7)が最年長で、ジョンレノン(1940.10.9)、ポールマッカートニー(1942.6.18)、ジョージハリスン(1943.2.25)が最年少。

 

魅力

Beatles自身とその音楽性の変化

8年間の中でBeatlesというグループ自体が大きく変化していき、それに伴って楽曲の音楽性も変化していく。

デビュー前はリバプールのライブハウス・キャバンクラブなどで連日演奏を行い、デビュー後は2枚目のシングルの「Please Please Me」の大ヒット(英国チャートで30週連続1位)を皮切りに、「From Me To You」「She Loves You」「I Want To Hold Your Hand(抱きしめたい)」..と次々と前代未聞の大ヒットをとばした。

アメリカや世界へ進出しコンサートを行い、音楽にとどまらず価値観・ファッションなどに大きく影響を与えた。

19658月には史上初の野球場でのコンサートをニューヨークのシェイ・スタジアムで行い、野球場での演奏のパイオニアとなった。

世界各国で、大勢のファンに囲まれた中でコンサートを続けるが、1966.8.29のサンフランシスコ・キャンドルスティック・パークでのコンサートを最後に、演奏活動を休止。その後レコーディングバンドへと変貌をとげる。4人の風貌も大きく変わった。

Beatles自身が架空のバンドを演じた初めてのコンセプト・アルバム「サージェントペパーズ・ロンリーハーツクラブ・バンド」から、多様な演奏形態の曲を収録する「ホワイトアルバム」まで、数多くの曲をレコーディング。コンサートを休止した代わりに、シングル曲の公開とともにプロモーションビデオを撮影。現代のPVの先駆けとなったのも、ビートルズ19676月には、3億人が視聴した世界同時衛生中継番組「アワー・ワールド」に出演し、「愛こそはすべて」を披露した。

1968年には自主レーベルとも言える「アップル・レコード」を設立し、「ホワイト・アルバム」以降のアルバムをアップルからリリース。

解散を前にした1969年に再びデビュー当時のビートルズの演奏形態に戻り「ゲット・バック・セッション」を行い、映画「レット・イット・ビー」を撮影。そして、横断歩道を渡るジャケットで有名な「アビーロード」を、最後に録音したアルバムとして発表し、19704月に解散。8年間のビートルズストーリーは幕を閉じた。

 

曲作り

ビートルズの曲は12,3分のものがほとんどで4人とも曲を書く。

レノン=マッカートニーの曲が圧倒的に多いが、ジョージの曲も名曲ぞろい。リンゴの曲(ドント・パス・ミー・バイ/オクトパス・ガーデン)もいい味を出している。

ジョンレノンが作曲しても、ポールマッカートニーが作曲しても、合作でも、表記はレノン=マッカートニー。有名な曲では、「イエスタディ」や「ヘイ・ジュード」や「レット・イット・ビー」などはポールの作曲で、ポールとジョンの作曲したメロディを組み合わせて合作したものもあり、「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」「We Can Work It Out(恋を抱きしめよう)」などに見られるように、2人が作曲した異なるメロディが、絶妙にマッチしている。

 

4人のソングライターが切磋琢磨し、5人目のビートルズといわれる音楽プロデューサー、ジョージ・マーティンに支えられ、完成したビートルズの楽曲には、駄作がない。11曲の世界観に合わせて、誰が歌うか、どんなコーラスを入れるか、どの楽器を使いどんな風に弾くのか、試行錯誤の結果、それぞれの曲が違った風合いを見せ、ビートルズの音楽の多様性を築いた。

解散後のソロ活動では、各メンバーの音楽の指向性の違いが明らかとなる。ポールは歌詞よりもメロディやアレンジを優先し、ジョンはメッセージ性のある歌詞で聴かせる。ビートルズでは各メンバーの強みが掛け合わされ、ジョージ・マーティンの力が加わり、唯一無二のビートルズサウンドが存在し得たことがわかる。

各曲ともわずか2,3分の中で、キャッチーでセンス溢れるメロディやアレンジやコーラス、リードボーカルが一体となって、ビートルズサウンドが繰り広げられる。

 

人柄

4人ともリバプール訛りのままで、飾らない。発言は実に率直で、心を打たれる。物質的なものや既存の価値観に左右されないかっこよさを感じる。

現代の私たちの日常生活の中ですら、金銭や肩書きなどの既存の価値観で物事を判断する人は多いが、ビートルズは成功して富を得てからも、真に価値あるものを追求し続けた。

ポールの言葉に「Were no more and no less..」(等身大以上でも以下でもない)というものがあったように思う。傲慢でなく、謙虚な中に自信もあり、持っているものを語らずして示す、ビートルズはそんな真のかっこよさの模範でもある。

 

歌とコーラス

ビートルズの声質は4人とも特徴的かつ異なっている。とくに鼻腔周囲に集音され鋭く響くジョンの声と、広く鼻腔・副鼻腔に響くスウィート・ボイスのポールの声は対極にある。ジョンが歌うか、ポールが歌うかで曲のイメージは全く変わる。

各曲のイメージに合わせて、この曲はだれがリード・ボーカルをとるのか、が決められる。

基本的には、自分が書いた曲は自分で歌う、というスタンスだが、例えばリンゴがリード・ボーカルの「イエロー・サブマリン」のように作曲者(レノン=マッカートニー)とボーカルが異なる場合もある。

そして、ビートルズの最大の魅力の一つであるコーラスの美しさも欠かせない。コーラスラインの多彩さと、絶妙な使い方も大きな魅力だ。

そしてポール・ジョン・ジョージの3人でハモった時の美しい声の融合・・については「Abbey Road」に収録される「Because」に集約されるかと思う。

 

声質は生まれつきのものだ。男性の場合は声変わりで声域が低くなったり、その人の声色の中での変化はみられるものの、基本的な声質は生涯変わらずにその人特有のものである。発声のしくみについて考えてみると、肺から送られた空気が喉の奥にある声帯を振動させ、声のもとになる「音」が、口腔や鼻腔・副鼻腔と言われる頭蓋内の空洞に響く事によって、声は発せられている。声を響かせる頭蓋内の空間の形態の違いが声質に影響している。

歌唱力だけでなく生まれ持った声質が曲のイメージを大きく左右するポップロックにおいて、3人の声質が絶妙にマッチしていることは大変に貴重だと思う。

 

演奏の魅力

ビートルズは、演奏が上手い。デビュー前に連日キャバン・クラブなどで演奏を重ねていた下積み時代に支えられていることもあるかと思うが、ビートルズに限らず、昔の時代は今よりもオーディオ機器の技術がはるかに限られた環境下で演奏をしていた。

音楽というものは演奏によって音が空気を振動させ聴いた人に感動を与えるものだが、録音をしなければ音はどこかに消えてしまい、現代まで聴き継がれることはない。

音楽という媒体は「オーディオ・データ」であり、制作過程にはその時代の科学技術の進歩が大きく影響してきた。

現代では、音楽データはパソコンのソフトを使用して制作され、録音した音のリズムや音程や音量などを簡単に修正することができる。部分的に録音したものを繋げて、各パートに様々にエフェクトをかけて加工し、画面上だけで再現可能な最高のテイクを作ることができる。

そのような高度な技術は、当然ビートルズの時代にはなかった。1963年に発売されたビートルズの最初のアルバム「Please Please Me」は、収録曲のほとんどを一発録りしたと言われる。ビートルズの演奏力は音源の高い完成度にも直接的に作用した。

 

アレンジ・アイディアの魅力

音楽におけるクレジットには、作詞・作曲・編曲とあるが、アレンジは編曲にあたる部分だ。

同じ曲でも、アレンジによって仕上がりは全く変わる。どの楽器を使って、それぞれどんな音色でどんなフレーズを弾くのか、アレンジの可能性は無限大に存在しうる。

ビートルズのアレンジは実に多彩だ。その曲のイメージに合うならば、リコーダーでも管楽器でも、インドの民族楽器でも、雑踏のざわめき声でも鳥の鳴き声でも、何でも取り入れる。あるいは、よりテクニカルな楽器のフレーズが合う曲には、メンバー以外のプレイヤーも受け入れる。「ドント・レット・ミー・ダウン」や「ゲット・バック」などの鍵盤はビリー・プレストンに、「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス」のギター・ソロはエリック・クラプトンに任せている。

ビートルズの発想力と、それをうまく引き出して形にするジョージ・マーティンの力によって、曲のメロディーを最大限に生かすべく、アレンジが仕上がっている。

ビートルズの曲は何度聴いても「こんなところにこんな音が!」という発見があったりする。 

 

ファッションの魅力

デビュー前はジーンズに革ジャンで演奏していたが、ビートルズのマネージャーのブライアン・エプスタインが、スーツにネクタイを着用させ演奏後に一礼をさせるという、初期のビートルズの礼節あるイメージ作りを行なった。

一昔前の流行りが、今現在には受け入れがたいセンスとなってしまう場合も多々あるが、ビートルズ60年代のファッションや髪型は、現代の感覚にも溶け込んでいる。初期のマッシュルームカット・ブーツやスーツ、あるいは中期以降のサイケデリックな色使いは、今でも一つのファッションとして受け入れられている。

 

ビートルズの魅力まとめ

・世界的アイドルかつ歴史的アーティスト

・駄作がない

4人とも主役になれる。4人とも歌い、曲を書く。

リードボーカルが曲ごとに変わる。

・変幻自在な演奏スタイル(ポールはBa,E.Gt,A.Gt,Dr,Key,Vo,Choを担当するマルチプレーヤー)

・飾らない人柄

・アイディア豊富なアレンジ

・現代の常識の先駆け:野球場での演奏・プロモーションビデオ・コンセプトアルバム・自主レーベル(アップル・レコード)等..

空前絶後という言葉が合っているように思います。

 

 

エッセイ「いい曲・素晴らしい音楽とは」

音楽には正解はありません。好みは多様な上、変化もします。

それでも良い音楽という概念は存在しています。

ひとつの大きな考え方では、時間をかけて証明されるものなのではないかと思います。

名曲と言われる音楽は、50年後、100年後・・にも、メロディーやアレンジ・演奏や、そこに込められたアーティストの魅力が聴く人に新鮮な驚きを与え続け、その人の趣味嗜好や生活の楽しみや、考え方や人生にまで、大きな影響を与えてしまうパワーをも秘めています。

どのアーティストの、どんな曲に魅力を感じるかは、その人次第ですが、

大好きな曲を創り出したアーティストとは、時代や場所を超えて、共有できる感動や価値観があるのではないでしょうか。

ビートルズは解散後50年たった今も、多くの人に影響を与え続け、愛され続けています。

 

今回はビートルズについて私なりの考えを、述べさせていただきました。

お読みいただき、ありがとうございました🐈

 


ビートルズ・ピアノ弾き語りメドレー10曲〜精神科医Dr.ChikaのBeatles名曲カバー〜

 

おまけのエピソード「ビートルズのリアルタイム(?)」

私の好きな音楽は、ビートルズやELOなどを中心に、60・70年代の洋楽ポップ・ロックです。

中学生の時にビートルズを好きになってからというもの、自身の世代の流行はそっちのけでした。

リアルタイムではない私にとって、60年代は「ビートルズが大人気だった」という印象をずっと、持ち続けていました。

現在の勤務先である認知症専門老人保健施設で働き出した頃、認知症の軽症者の方を対象とした集団音楽療法(演奏会)で、ビートルズの「Yesterday」「Let It Be」「Help!」を、ピアノで弾き語り演奏をさせていただいたことがあります。

リアルタイムの世代を過ごした利用者さんたちは、当然曲を知っていて、もしかして一緒に口ずさんでくれるのでは、と期待したのですが、利用者さんたちの反応は・・

皆さん「・・・・・(???)」という感じでした。

あれれ?と思いながらも、「Help!」を最後まで歌いきった私だけが完全に浮いてしまったことが、働き始めの良い思い出になりました。(笑)

中には「ミッシェルが好き」などと言ってくれた利用者さんもいたのですが・・お一方でした。

昭和の歌謡曲の演奏に戻ると、皆さん一緒に歌ってくれていました。

予想外の反応に驚くと同時に、「昭和の歌謡曲」の力を痛感しました。

今後、洋楽好きの利用者さんが入所された際には、是非一緒に聴きたいと思っています。